ドラマ『anone』が最終回でした。
初回から期待して観ていて、最後までその期待感と充実感は変わりませんでした。
なんというか・・・毎週すごく待ち望むようなドラマではなかったけれど
静かに次のエピソードを待って、その世界観に浸ると心の奥深いところに染みていくようなドラマでした。
2話観たところで友人にオススメしたのですが、「え?どんな話しなの?」と聞かれても一言では説明できず、
「いろいろと孤独な人たちが集まっていく群像劇というか、偽札や誘拐などの事件もおこって、ロードムービー的な展開になるのかなぁ・・・・」ってくらいにしか言えず
友人には内容が伝わりませんでした、残念ながら。
でも、きっと観続けた人の中には何かが残るドラマだったと思います。
同じ脚本家の坂元さんの『カルテット』の世界観は、ミステリー要素もちらりと盛り込まれ、上品な明るさがあって
ちょっと憧れることができるテイストだったのだと思う。
けれど、『anone』はどちらかというと、世の中の影の部分。
誰もがもしかしたら陥ってしまうかもしれない不幸と儚さを持った人たちの紡ぐ世界なので
できれば目を背けたいと思わせる暗さがありました。
でも、その暗さと儚さのなかに幸福感があって、それが丁寧に描かれている。それは最終回にも消えることなく続いていました。
それが最終回のラストまで変わりませんでした。
そして、何かを諦め不幸な女の子だった広瀬すず演じるハリカが、じわじわと成長し、凛とした大人になった姿は、亜乃音や青羽、そして舵の希望になったんだと思うと
ニセモノの家族ごっこがホンモノになったと思わせてくれて、その充実感は観続けた視聴者を幸せな気持ちにさせてくれました。
孤独感から生まれた彦星くんへの恋心は、ニセモノの家族に支えられることで
本当に相手を思う強い気持ちになっていったのかな・・・その気持ちの変化を広瀬すずはすごく静かに演じていて、惹かれる演技でした。
もう一つ、すごく良いドラマだったのが
NHKBSプレミアム『弟の夫』3話完結のドラマでしたが
3話で一つの映画のようなドラマでした。
タイトル通り、弟の夫(把瑠都演じるマイク)・・・・が登場する。
男性同士の恋愛関係、家族関係をどう受け入れていくのか・・・・という
これがまた、『anone』同様、独特の静かな世界観で静かに泣けるドラマでした。
どこかドキュメンタリーのような映像、ひとつひとつのシーンが丁寧に作られているのがわかるドラマです。
驚いたのが、「弟の夫」役である元力士の把瑠都の演技が良い。
ストーリーが進むにつれて、どんどん上手くなっていった気がして・・・
把瑠都だからこそのドラマだったのでは?と思うほど。これが演技のうますぎる外国人俳優だったらあの雰囲気はなかったと思う。
佐藤隆太もいつものイメージの熱血ぶりの雰囲気とは違う、気持ちの変化を静かに演じていて
それがとても伝わってきました。
そして何より泣かされたのは、娘の夏菜の素直さと明るさ。
なんで、明るくて素直で可愛いのに泣けるのかな・・・
頭で考えず、気持ちがまっすぐだからこそ偏見のない思いで、おじさんの夫マイクを慕います。
一方、少ししか登場しないけれど夏菜の友人のユキちゃん。
ユキちゃんは読書家で、頭の中でイメージが広がる子。夏菜とは違った視線で男性同士の恋愛を受け入れる。
大人の常識的感覚や日本の社会の偏見を子供達はそれぞれの形で受け入れていく姿がよかった。
このドラマは、NHKだし、ましてBSだし3話完結だし・・・ひっそりと放送してあっという間に完結してしまった感じもするけれど
多くの人にオススメしたいと思うドラマです。
オンデマンドでも放送しているので、興味ある方はぜひ。

