WOWOWのドラマは重たいものが多い。でもハマったら入り込んでしまうタイプのドラマがこれまでもたくさん作られていて・・・・
コッチ側(WOWOW)にハマってしまうと地上波各局のメインのドラマが妙に軽く、安っぽさを感じてしまう。CMにも気を削がれてしまうし・・・。
ただ・・・重いんです。原作が人気小説の作品が多いのでそれなりに軸があってテーマがしっかりしている。
それに最近の小説は本格派犯罪モノや企業モノ、医療モノが多いので
それらが映画やWOWOWのドラマの原作に使われることが多い理由は、地上波では表現が問題になる場合もあるのかもしれない、なんて思う。
・・・で今回WOWOWドラマの『プラージュ』の話。
原作は「ストロベリーナイト」の原作者でもある誉田哲也さん。他にもたくさん小説は出ているのだけれど、どうしてもストロベリーナイトの印象が強い。
私も最近読書から離れているので、読みたいと思いつつ読んでいないけれど
私の友人は誉田哲也作品ファンで、どれも読み応えがあり面白いらしいです。
さて、ドラマ『プラージュ』は訳ありのシェアハウスを舞台にした話し。
シェアハウスのオーナーは石田ゆり子さん。
そしてそこの住人の主人公は星野源さんが演じています。
ちょっと軽めの群像劇かと思いきや・・・・「訳ありばかりのシェアハウス」というサブタイトルの通り、
シェアハウスの住人は皆、訳あり。それも全員元犯罪者。
犯罪者、前科者にも色々あって・・・その苦悩が少しずつ描かれていくのだけれど
それがやっぱり重い。
石田ゆり子さんは、飄々として可愛らしい役がイメージにありますが、結構幸薄い役柄や影のある訳あり女性の役もハマります。
そして主人公の星野源演じる覚せい剤使用の罪で前科がついてしまったタカオ。
人に流されやすく、ちょっとダメな男性役なのですが、これはすごくハマっている。
『逃げ恥』ですっかり人気者になったけれど、私はあの「ひらまささん」の役の星野源にちょっと違和感がありました。
なので、星野源に苦手意識があるのだと自分では思っていたのですが・・・・
この『プラージュ』のタカオは違和感なし。
重たいエピソードの中で、ちょっとしたダメ感と軽さと抜け感(?)みたいな空気が表現されていて、それが物語の重さとバランスをとっています。
顔の綺麗すぎるイケメンだったらそうはいかないと思う。
そして他のキャストも映画でよく見かける役者さんたち。
美羽というかなり重たい過去を持つ20歳の女性、これからタカオと恋愛関係になるのか?という役のこの仲里依紗さんがすごく良くて・・・彼女の表情を見ているだけで哀しくなってくる。
仲里依紗さんって、主婦役もできるし、女子高生役も違和感がない・・・すごい。
元犯罪者。前科者。に対する世間の目、事実ではあっても偏見も大いにある。
犯罪を犯してしまった過去を消すことはできず、罪を償っても償っても、世間は許してくれない。
その切なさと、ずっと続く贖罪。
そして、なぜ「前科者」になってしまったのか
犯罪者は決して特別悪な人間ではなく、ちょっとした弾みで加害者になってしまうこともある。
本当の悪人にうっかり巻き込まれてしまうこともある。
犯罪者、前科者。というレッテルを社会はどう受け入れて、どう関わっていったら良いのか・・・・
せめて、個人的な意識をどう持つべきかを考えさせられるストーリー。
シェアハウス『プラージュ』はそんな共感を奥に秘めた「訳あり」の人たちがそっと寄り添いながら日常を過ごす場。
こういう場所は、もしかしたらどんな人にも必要な場所なのかもしれない。
同じ傷を持つ同士、だからこその奥深い共感は、誰にでも必要なんじゃないか・・・。
そして、同じ前科者と言われる者同士でも、犯した罪によって相手を見る目が怯む。
この人としての当たり前の心理、そこがさらに切ない。
スガシカオさん、俳優としてギター弾きの住人を演じています。こちらもなかなかの重たい役ですが自然体で素敵です。
ストーリーは毎回一人一人にスポットが当たる中、軸には大きな謎が隠されていて、それが次第に明かされていく、サスペンス的なストーリー。
全5話作品です。ちょっと短いけれど、WOWOWドラマは重たいのでこれくらいがちょうど良い。

